メッセージ

第2回 「夢と情報」

「あなたの夢は何ですか?」

就職の面接会場で、そう聞かれたときあなたならどう答えますか?

不景気といわれる現在、新卒の方の就職もかなり難しくなっています。セミナーに50社行っても全く手応えがないという話さえあるほどです。

そのような状況下でも就職が決まる人というのは、チャレンジ精神に溢れている人、積極的な人、明るい人が多いのです。そして自分の夢をはっきりと思い描けることも大切です。夢を聞かれて答えられないような人は、企業の側でも欲しがらないでしょう。

私は今、ある女子大学でビジネスマナーとコミュニケーションの取り方を教えていますが、教壇から見ていると、就職がすぐに決まる人というのはわかるものです。

そういう人達にははっきりとした特徴があります。それは自己主張、自己表現がきちんとできること。そういう人は自分の考え(ビジョン)がはっきりしていて、面接官にも印象がいいのではないでしょうか。

そしてさらに重要なのは、夢を持っているからこそのチャレンジ精神です。今の若い人には、夢を聞いても答えられない人が多いようです。

確かに夢を持ちにくくなっている現実はあります。昔と比べて情報が溢れ過ぎているため、先が見えすぎたり、すべて疑似体験してしまい、体験した気になってあきらめてしまうことが多いのかもしれません。夢を持とうと思ってもなかなか持てないのです。しかし、夢を持てば何をやればいいのかがはっきりしてくるはずです。

学生時代、私にはロンドンにイギリス人のボーイフレンドがいましたが、家庭の事情でその彼と別れ、帰国せざるをえない状態になってしまいました。私は彼に会いたくてしかたありませんでした。その頃は1ドル360円の時代で、安いチケットもなく簡単にはロンドンに行くことができません。私はロンドンに行くためにどうすればいいかを一生懸命に考えました。

私が出した答えはこうです。「そうだ、国際線スチュワーデスになってイギリスの彼に会いに行こう」

そう思った私は、スチュワーデスになるための勉強を始めたのです。これは手近な例ですが、どんなに大きな夢であっても、それを実現する方法をブレイクダウンしていけば、手近な目標にまで引き下げてくることができます。私はスチュワーデスになるということをロンドンに行くための手段にしたのです。

10数年前には新入社員研修で「この会社の社長になりたい人はいますか?」と聞くと、50人いれば5~6人は社長になりたいと答えたものです。しかし現在では「この会社にいつまでいるかわからないし、なってもせいぜい課長止まりかな」というような答えが出るようになってしまいました。

情報がないときには夢が持てたのに、現実という情報が入ってくると夢は持てなくなるものです。それでも夢にチャレンジできる人、そういう人を企業は求めています。

いくら大きな夢を持ってもいいのです。それを実現するために何をすればよいかを順序だって考えていくことが大事です。チャレンジ精神を持つこと。怖がらずにやってみることが大切です。

「あなたの夢は何ですか?」そう聞かれたとき、あなたは自分の夢を思い描けますか?

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